2024年6月25日
皆様、笹谷秀光です。
今回は、「環境省の第六次環境基本計画とウェルビーイング」です。
環境省は、5月21日、環境基本法に基づき、「第六次環境基本計画」を策定しました。
この計画は、日本政府の2030年までの環境政策の基本方針をまとめたもので、
その最大の特徴は「ウェルビーイング」を環境政策の最上位に位置付けたことで、話題になっています。
ウェルビーイングは、SDGsを盛り込んだ2015年の国連合意文書「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」
でも明記されていました。「我々のビジョン」のところに以下のように書かれています。
「貧困や飢餓、病気から自由な世界、恐怖と暴力から自由な世界、全ての人が読み書きできる世界、そして全ての人が質の高い教育や保健医療、社会保護にアクセスできる世界を目指しています。
さらに、身体的、精神的、社会的福祉(ウェルビーイング)が保障され、安全な飲料水と衛生に関する人権が確保された世界、
そして全ての人が安価で信頼できる持続可能なエネルギーにアクセスできる世界を目指しています」。
今回は、ウェルビーイングが日本政府の公式計画に明記されたことに大きな意義があります。
環境基本計画とは、環境基本法第15条に基づき、政府全体の環境保全に関する施策の方針を定めたものです。
1994年に第一次環境基本計画が策定され、今回の第六次計画は2024年から2030年までを対象としています。
2030年はSDGsの目標達成年でもあり、環境・経済・社会すべてにおいて「勝負の2030年」と位置づけられています。
第六次環境基本計画では、「ウェルビーイング」を環境政策の最上位に据えました。これは、GDPなどの市場的価値だけでなく、
幸福や生活の質といった非市場的価値も追求していくことを強調しています。
ウェルビーイングの向上を追求するために、自然資本の維持・回復に向けた大規模投資を行うとされています。
環境省がウェルビーイングを最上位の概念に置いた理由は、市場的価値中心の成長指標だけでは、一人ひとりの生活の質や幸せを示せないためです。
非市場的価値も追求するために「ウェルビーイング」を掲げたのです。
定義は明確には定められておらず、「ウェルビーイング」とそのまま記載されています。
何をもってウェルビーイングとするかは一人ひとり異なるため、均一化することはできないと考えられています。
環境省の新たな取り組みを通じて、持続可能な未来と一人ひとりの幸福の向上を目指していきましょう。
このように政府の公式文書を読み解くことも重要な情報収集の一環です。
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【講座の詳しい内容と申込み方法】 https://form.bri.or.jp/public/seminar/view/67644