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「三方良し」通信

笹谷秀光の「三方良し」通信。「いまさら聞けない、SDGs」

2019年1月20日

笹谷秀光の「三方良し」通信。「いまさら聞けない、SDGs」です。

皆様こんにちは、笹谷秀光です。今年もよろしくお願いいたします。
先日ある友人に、SDGsの伝道師的な活動をしているので「エバンジェリスト」ですねと、光栄な名称をいただきました。

昨年は「SDGs実装元年」でしたが今年はSDGsが必須要素になり、今年は「SDGs経営元年」です。
このあたりになると「いまさら聞けない」という雰囲気になります。そこで、年始にあたり基本想定問答を作ってみました。

SDGs:図版は国連広報センターより

 

SDGs想定問答

問1:そもそもSDGsとは? 社会や企業にとっての意味は?

2015年に国連で採択されたSDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)とは、少し硬い用語ですが、要するに、現下の地球規模課題を洗い出して取りまとめた、これからの持続可能性について語る場合の世界の共通言語です。

17の目標と169のサブ・ターゲットによって構成され、これまでの持続可能な社会作りに関する様々な取り組みの集大成。先進国も途上国も、政府も企業もすべてで自主的に取り組む2030年への目標です。

問2:SDGsとはどのような特徴があるのか? 

最初に筆者がSDGsについて読んでみた時の印象は、国際的な合意として非常によくできた内容ではないかという事です。その理由の一つとして、SDGsが5つの「P」に集約されていることが挙げられます。

まず、「PEPOLE」「PROSPERITY」「PLANET」。人間、繁栄、地球環境にとって必要な要素が込められています。そして、その3つを達成するために不可欠な「PEACE」(平和)。さらに、それらの複雑な課題を解決するために求められる「PARTNERSHIP」。SDGsは、この5つの「P」で緻密に整理されているわけです。

問3:SDGsの前には、MDGs(Millennium Development Goals/ミレニアム開発目標)がありました。違いはなんでしょうか?

MDGsは、2001年から2015年まで設定されていた目標で、とくに、途上国の課題を浮き彫りにしていました。先進国は途上国を援助する側という位置づけでした。

しかしよく考えてみれば、地球課題を解決するにあたって、主体は途上国だけではありません。そこで、世界共通で取り組もうという認識が生まれて世界普遍性(これをユニバーサリティと言います)を持ったSDGsの仕組みに切り替えたのです。

もう一つ大きな違いは、課題解決にあたって、政府や国際機関の役割を中心にしていたMDGsに対して、SDGsでは企業の役割を明確に位置付けました。その二点が大きな変化です。

問4:現状、日本における進捗具合はどうなのでしょうか?

昨年有力な国際的ネットワークとドイツの財団の調査で、国別ランキングが日本が11位から15位に落ちたことが話題になりました。
しかし私は、日本は非常に頑張っていると思います。日本は、少子高齢化や地域の過疎化といった先進国特有の課題を多く抱えていますが、解決力も備えています。

とくに、「目標9: 産業と技術革新の基盤をつくろう」は、日本企業の高い技術力と開発力によって、非常に進んでいるし、世界から期待されてもいます。
さらに、日本社会にはもともと、和の精神があるので、「目標17: パートナーシップで目標を達成しよう」も根付いている。SDGsの解決を加速させるポテンシャルは極めて高いと思っています。

問5:そのポテンシャルをさらに発揮させるためにはなにが必要か?

私はいつも、近江商人の経営理念である「三方良し」(自分良し、相手良し、世間良し)が大切だと言っています。三方のうちの、「世間」の課題を、SDGsだと考えればいい。
ただし、そこには一つ重大な補正が必要です。

日本には「隠徳善事」という言葉があるように、これまで日本の企業は、「人知れず社会に貢献しても、わかる人にはわかる」と考え、あえて自分から発信しないことが多かった。
けれど、グローバル社会において、それではとても通用しません。発信することが重要。ですから私は、「発信型三方良し」という概念を提唱しています。

発信していくことで、同じ志を持った仲間が増えます。そこから、様々な形でイノベーションが起こるわけです。

問6:ビジネスとSDGsの関係についてはどう考えるべきか?

実はそこにSDGsの大きな特色があります。SDGsでは、企業の「本業力」を使って、創造性とイノベーションを起こし、社会課題を解決する、という、本業活用型の活動が推奨されています。
そのために、企業の行動指針となるガイドライン「SDGコンパス」も策定されています。これをよく読めば、ビジネスにSDGsを取り込むことのチャンスもリスクも洗い出すことができるわけです。

リスクを回避し、チャンスを掴んで、社会課題を解決しながら、経済価値も上がる。そういった共有価値の創造戦略を深めてほしい、という内容が主軸として整理されています。
これは競争戦略の権威であるハーバードビジネススクールのポーター教授らが提唱する経済価値と社会価値の同時実現を目指す、「共有価値の創造(※)」に使えるもので、私の言葉で言えば「発信型三方良し」の実践マニュアルです。

※Creating Shared Value (CSV)

問7:企業としてSDGsにはどんなメリットがあるか?

まずは、企業の評判が上がることで、そのブランド価値は上がり、ステークホルダーに注目されます。いま投資家は、ESG(環境、社会、ガバナンス)に積極的に取り組む会社に強い関心を寄せています。

取引先も、SDGsにきちんと取り組んでいる企業と取引したいと考えるようになるでしょう。また、消費者も、そういう企業の製品を選ぶようになる。さらに、人材の面においても、優秀な人が集まるし、人が辞めない会社になることが期待できる。そうした強力な影響があるのではないかと考えています。

そして、既存のビジネスをSDGsの体系のなかに位置付けて、その価値をより見える化できるという利点もあります。

要するに、その価値を説明するときのストーリーテリングの質が非常に良くなる。なぜなら、SDGsはそれ自体が一つの壮大なストーリーとしてまとまっているからです。いいコンテンツを持っている企業は、そこにうまく当てはめていくことによって、全体をわかりやすく整理できるわけです。
また、SDGsと照らし合わせることで、ビジネスに磨きをかけ、進化のきっかけとしたり、新しいビジネスを創出するときのヒントとしても使うことができるでしょう。

問8:東京オリンピック・パラリンピックとの関係はあるか?

1年後に迫った東京五輪においても、調達やイベント運営のルールにSDGsが明確に組み込まれています。また、2025年の万博を大阪に招致するにあたり、第一の目的にSDGsへの貢献を掲げて招致に成功したのです。

これからの国際的なイベントはすべてSDGsでルール化されていきます。日本国民みんなが、SDGsを共通言語として、しっかり自分で理解して、自分ごと化していく必要がある。そういう時期に入ったのではないかと思います。

2019年はグローバル・ショーケースの年です。G20、ラグビーのワールドカップ、元号改定での外国要人の訪日、そして五輪・パラリンピック直前の年です。
世界に日本経営の良さを改めて示す絶好のチャンス到来です。今年は「SDGs経営元年」と位置づけるべきでしょう。

問9:SDGsで求められるパブリック・リレーションズは?

SDGsでは的確な発信とコミュニケーションがポイントです。

経済、政治、文化において急速にグローバル化が進行する中で、民族や文化、言語、宗教、国境を超えてステーク・ホルダー(利害関係者)とのリレーションシップ・マネジメントを実践するパブリック・リレーションズという考えをかみしめる必要があります(井之上パブリックリレーションズ社 井之上喬会長)。

井之上喬氏によれば、「パブリック・リレーションズ(PR)とは、「個人や組織体が最短距離で目標や目的に達する、『倫理観』に支えられた『双方向性コミュニケーション』と『自己修正』をベースとしたリレーションズ活動」です。

(参照)http://www.inoue-pr.com/our_strength/pr/

これはまさにSDGs経営に求められる真のパブリック・リレーションズと考えられます。

 

いかがでしたか。
今年も、精力的に様々な場でSDGs経営を皆様とともに考えていきます。

 

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笹谷のSDGs経営講座

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〇笹谷の「SDGs早わかり特別講座」(3時間コース)

「これならすぐに使える、SDGs活用の競争戦略-社会・環境・統治(ESG)時代における経営の切り札-」
2019年02月01日(金) 13:30~16:30
主催:金融ファクシミリ新聞社、場所:都内、同社セミナールーム
詳しくはこちら

https://www.fngseminar.jp/seminar/index.php?p=detail&num=3833&fbclid=IwAR0jVC-C2sO9Se3o4CsfH5YWkKX38vLzJBWjpmdYBNViA5zb1MhbMym1V3A

〇笹谷「SDGsビシネス・ラボ」

SDGsをビジネスとして具体化する“場”、都内会場
第1回2019年1月31日(木)、第2回2019年2月13日(水)、第3回2019年3月19日(火)

・SDGsビシネス・ネットワーキング(18:30~19:30)
・SDGsビジネス・ゼミ(19:30~21:00)

運営:一般社団法人 ソーシャルビジネス・ネットワーク
詳しくはこちら

http://socialbusiness-net.com/contents/news5876

〇第2期 ESG/SDGs対応フォーラム(笹谷塾)

主催:企業研究会主催、後半の応用編に入った。単発参加も可能、SDGs先進企業視察も。都内会場。

第5回:2019年2月12日(火)14:00~17:00
セイコーエプソン / エプソン販売見学会「共有価値の創造 ~Society5.0とCSV~」

第6回:2019年3月12日(火)14:00~17:00
「関係者連携の手法~五輪・パラリンピツクや地方創生を例に~」

第7回  :2019年4月9日(火)14:00~17:00
NECネッツエスアイ見学会「チャンスとリスクマネジメント~働き方改革・次世代育成など~」

第8回  :2019年5月14日(火)14:00~17:00
「発信型三方よし」 ~サステナブル・ブランドとESG発信~

第9回  :2019年6月11日(火)14:00~17:00
「サステナビリティ・マネジメント ~企業価値の向上と社内浸透~ ~まとめ~」

詳しくはこちら

https://www.bri.or.jp/esg/

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