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「三方良し」通信

笹谷秀光の「三方良し」通信。笹谷秀光の「協創力が稼ぐ時代」<第5回> 次世代育成SDGs

2018年3月23日

笹谷秀光の「協創力が稼ぐ時代」<第5回>
次世代育成SDGs ※月刊総務オンラインからの転載

2018-03-23 14:00

青少年の体験活動推進企業表彰とSDGs

 筆者が審査委員を務めた関係で平成29年度青少年の体験活動推進企業表彰でのパネルディスカッションでモデレーターを務めました(3月1日)。主催者の文部科学省では、企業のCSR/CSV活動を通じた青少年の体験活動を推進するため企業を表彰しています(今回が5回目)。

  http://www.csr-award2018.jp/ceremony.html#oubo

 これはSDGsの目標4「質の高い教育」に該当し、「SDGsアクションプラン2018」で示された次世代の育成です。パネルは「企業と青少年教育をつなぐ連携とは」というテーマで、モデレーターとして示した論点整理をここに採録いたします。

パネルディスカッションで論点提示を行う筆者

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パネルディスカッションでモデレータを行う筆者

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(右は同じく審査委員の明石要一先生)

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青少年を取り巻く状況

最初に、今の時代状況を読み解く3つの要素を確認しました。相次ぐ文化遺産がヒントになります。2013年に富士山、これは日本人の心に刻まれた文化遺産。それから和食、手漉き和紙、祭り、富岡製糸場、神宿る島。日本的な価値観が世界のユネスコに認められ、しっかりと世界に発信ができて、そこに五輪・パラリンピックが来るわけです。

また、ICTやAIの進化を活用する「Society5.0」が課題です。日本の良いもの(クールジャパン)をしっかり発信して、ますます増えているインバウンドの方々にも訴求して、レガシーとして遺していくというのが今の時代の課題でしょう。

政策課題も国際都市東京の形成は「2020」まで、地方創生も2019年までが第1期で、今まさに真っ最中です。加えて「次世代育成」が重要で、全部合わせて日本創生を目指すという状況と整理できます。

国民全体が「2020年までに」というタイムラインの「締め切り効果」を生かして、それぞれ自分はそれまでに何ができるかを考える必要があります。

そして、企業にもこれから世界で渡り合っていく羅針盤が欲しいところです。その絶好の羅針盤がSDGs、筆者の言葉で言えば持続可能性に関する世界の共通言語です。今日のテーマはSDGsの4番「質の高い教育」です。このロゴを見るとノートとペンですね。

 

「発信型三方よし」に「学び」を加える

このような中で、企業は、簡単に言えば「三方よし」、つまり、「自分よし、相手よし、世間よし」という、もともとあった商人哲学を生かして活動すると良いでしょう。

この三方よしに、今日のご提案として、まず「学び」を加えて欲しいと思います。三方よし構造をつくり、三方のそれぞれが学ぶ。つまり、企業では社員が学び、相手のパートナーも学び、そして世間、つまり地域社会でも学ぶのです。

もう一点、三方よしには補正が必要です。いつも申し上げているとおり、「陰徳善事」というのが常に一緒に心得としてある。「徳と善いことは隠す」「わかる人にはわかる」「空気を読め」という意味です。ところが、今のグローバル時代には、そして今や日本でも若い世代には通用しない。

いわゆる「ミレニアル世代」、2000年に成人を迎えた若者 – Facebookのザッカーバーグが代表例です – がいます。その前はX世代といわれ、ザッカーバーグのミレニアル時代をY世代とも言います。さらにそれ以降に生まれた若者はZ世代といいます。このY世代からZ世代までの若者には、「わかる人にはわかる」は、日本人の間でも全然伝わらないです。

ミレニアル世代の特徴は世間を見る価値観として持続可能性を重視する、SNSなどを徹底的に使いこなす、不要なモノは持たない、買わないといった特徴があります。世代論ですから全員というわけではなくそういうタイプの人の比率が高いということです。

そこで、筆者は、三方よしに発信を付けろということで「発信型三方よし」を提唱しています。今回の文部科学省での受賞企業は絶好の発信のキッカケをつかみました、これが受賞の大きな意義の一つです。

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本業活用で好循環を

青少年の体験活動が必要な理由は「体験格差」を是正することです。そこに企業の本業力を使えないかということがポイントです。

企業が本業を使うとなぜ青少年の体験活動に充実度を与えるか。まず、企業にはいろいろなスキルや資格を持った人がいます。加えて、「本物」の現場を持っている。工場、作業の現場、テレビ局の撮影室の中などリアルな現場がある。学校ではこれらの現場を提供するには限界があります。

さらに現場に出向けば、生き生きと仕事をしている人たちと直に触れ合うことができます。一方、青少年を迎える社員にとっても学ぶことができて、それにより社員が新たな気づきを得てイノベーションにつながる効果が出てきます。

この好循環のサイクルができると、本業に好影響が生まれます。簡単に言えば、まず「いいね」と共感を呼ぶのです。次にこの活動をなぜ行うのかをうまく説明すれば「なるほど」と理解が深まります。そして、そんなにいいなら「またね」と継続につながっていくのです。

この「いいね、なるほど、またね」というサイクルを築いて欲しいと思います。これがCSR/CSV活動のコツです。この循環を目指していると「さすが」という評価につながるのです。

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関係者連携のSDGsで共有価値を創造

もう一点重要なことは、1社だけで活動するのではなく、「産官学金労言」の連携で行うことです。

SDGsについてもパートナーシップが重要であると強調されています。昨年12月に発表された「ジャパンSDGsアワード」受賞12団体・企業の中には小学校も選ばれています。江東区立八名川小学校で、教育内容にSDGsを参照しています。この事例を分析すると、青少年の体験活動でも有益なヒントになると思います。

 

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