笹谷秀光 公式サイト | 発信型三方良し

「三方良し」通信

笹谷秀光の「三方良し」通信。今年はいよいよSDGs五輪イヤー。「文明論としてのSDGs」

2020年1月1日

 

 

謹賀新年

笹谷秀光です。

今年はいよいよSDGs五輪イヤー。「文明論としてのSDGs」を考えます。

 

元号が変わり、令和では「持続可能性」が企業経営にとって最も重要な価値観になった。

持続可能性の世界共通言語がSDGsである。SDGsは突き詰めると文明論である。SDGsの取り組み方も国の文明によって異なるとつくづく思う。スウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんへの反応などにもお国柄が現れる。

SDGsの基本であるサステナビリティ(Sustainablity:持続可能性)も難しい。

皆様はどのように、この言葉を人に説明しているであろうか。筆者は、「世のため、人のため、自分のため、そして子孫のためを考えた社会づくり」と「世代軸」を入れた概念として理解している。持続可能性は未来につなぐ概念であり世界文化遺産などを例にするとわかりやすい。孫子(まごこ)の代に受け継げるかという価値観だ。

日本には和の精神があるので、「目標17: パートナーシップ」も根付いている。また、日本では古くから「三方良し」のような商習慣がある。SDGsを加速させるポテンシャルは極めて高い。

ところが、これが、くせ者だ。このため、わざわざ外来のSDGsなどいらないとの議論になりやすい。ここが運命の分かれ目になる。

三方良しはよいが、今のところ世界には通用しない。それは「隠徳善事」という言葉があるように、日本の企業は、「人知れず社会に貢献しても、わかる人にはわかる」と考え、あえて自分から発信しないことが多かったためだ。これが日本企業の島国内競争による「ガラパゴス化」の一因でもある。

しかし、現在のようにインバウンド来訪者3千万人時代で国内にもグローバル化が浸透している社会ではとても通用しない。発信しないと同じ志を持った仲間が増えない。仲間内だけではイノベーションも起こりにくい。また人権・環境など世界課題の認識がないとリスクに見舞われる。

そこで、筆者は、「発信型三方良し」を提唱してきた。「三方良し」(自分良し、相手良し、世間良し)の「世間」の課題が今はSDGsだと考えればよい。つまり「発信型三方良し」を「SDGs化」していけば世界に通用する。

日本の場合は、もう一つ問題がある。それは外来語のこなし方だ。もともと「和魂洋才」でうまく外来の概念を日本語化してきた。福沢諭吉をはじめ明治の知識人は、素晴らしい訳語を考えた。

しかしここに来て日本人は横文字を取り入れる工夫力を失ってしまったようだ。特に3文字略語は全くうまくいかない。 CSRしかり、CSVしかり、ESGしかりだ。ましてやSDGsなどは小さな「s」までついている。この言葉のハンディがガラパゴス化に拍車をかけSDGsの浸透を妨げているとすれば大変な損失だ。

特に、CSR(Corporate Social Responsibility)のResponsibilityを、日本語で「(社会的)責任」と訳したことにより、受け身型の最低限守るべき事項とか、重い責任を取らされるといった語感が漂う。翻訳というものは難しい。

この語の本来的な意味は、Responsibility=Response(反応する・対応する)+ability(能力)、つまり「反応(対応)する能力」である。したがって、CSRは社会課題への積極的対応も含めた「社会対応力」として理解すべきである。「企業の社会的責任」という訳語は語感が狭いので、CSRの訳語を「企業の社会対応力」に改定して、内容をとらえ直していくべきと、筆者はかねてより提唱している。

また、日本人は、横文字の理解でガラパゴス化しているだけでなく、自信喪失に陥っている。興味深い調査結果が出た。米国の「USニューズ&ワールド・レポート誌」の2019年版の「ベスト・カントリー・ランキング」で、日本が過去最高の2位に浮上した。前年5位から順位を大きく上げた。

総合1位は前年と同じスイス。3位はカナダ(前年2位)、4位ドイツ、5位イギリスとなった。アメリカは8位、中国は16位だ。同ランキングが重視している「企業家精神の高さ」でトップに立ち、経済、健康や文化などで高評価だ。

興味深いのは、このような高い海外評価に対し日本人は世界で最も自国を低く評価しているという分析結果も示された。この日本人のいわゆる「自虐的な感覚は、観光や海外投資に長期的な悪影響を及ぼすと同誌は懸念している。

(NewSphere記事参照、https://newsphere.jp/national/20190124-3/

現状、SDGsの日本における進捗具合はどうなのか?

この質問も多い。世界的調査機関の最新の調査結果では日本は15位である。これを聞いてやっぱり日本はだめかという反応が多い。すっかり自信喪失状態だ。

トップは北欧諸国で占められ、ドイツ、フランス、イギリスには抜かれているが、人口一億人以上では日本が一位だ、というとほっとする。「トンネルの中の30年」の「平成」イメージで「令和」の今も生きている。これではとても欧米諸国には勝てない。

実は、日本はSDGs目標のうち女性活躍、気候変動などで課題を残すが他は非常に頑張っている。少子高齢化や地域の過疎化という課題先進国であるが、課題解決力も備えている。

もう一点重要なことがある。SDGsは、自主的取り組みが基本である。やれる人がやれるところからすぐにも着手しようというルールである。そうしなければもはや地球規模の課題の対処に間に合わないという危機感が背景にある。

このルールは怖い。どんどん差がつくからだ。「ぼーっと」していれば「置いていかれる」というルールだ。日本が欧米に置いていかれる、日本の中でもSDGs仲間の埒外に置かれる。

ルールが変わったのである。横並び思考、「護送船団行政」の残影、ガラパゴス化から一刻も早く抜け出して、すぐにも自社は何をすべきかを、SDGsをヒントに考えなければいけない。今ならまだぎりぎり間に合うかもしれない。

以上みてくると、SDGsは世界共通言語なので各国の対応を通じ、その文明の質が問われる。

今年はSDGs五輪・パラリンピック・イヤーだ。各国からインフルエンサーが来日する。

日本はそろそろSDGsの「解読作業」を終えて、これを共通言語として使いこなし、未来に向けてみずから考え、実行していくべき時代に入った。

おかげさまで、拙著「Q&A SDGs経営」(日本経済新聞出版社)を通じて「発信型三方良し」に賛同しこれを推進する「エバンジェリスト」(伝道者)も増えている。

2020年のSDGs五輪イヤーを日本再浮上のSDGs経営「実装」元年としたい。

 

◆拙著「Q&A SDGs経営」ではSDGs五輪・パラリンピックも、重要なテーマとして事例も紹介している。ご参照ありたい。

 

■当面の笹谷の活動

◆募集中:『Q&A SDGs経営』発刊記念特別講座・SDGs経営時代の企業サバイバル ―経営層、中堅幹部限定

2020年3月6日金曜日 13:30〜16:30

金融ファクシミリ新聞社セミナー

〒103-0016 中央区日本橋小網町9-9 小網町安田ビル2階

https://www.fngseminar.jp/seminar/index.php?p=detail&num=4172&fbclid=IwAR0pusZ1Jvcn0dSCy7VmRMlgHFtyXDSgJt0qcWah0njnmQUfoWZ2YO6JPHw

 

以上の通りです。今年もどうぞよろしくお願い申しあげます。

 

 

笹谷 秀光 (Sasaya Hidemitsu)

CSR/SDGsコンサルタント

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