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「三方良し」通信

笹谷秀光の「三方良し」通信。パンデミックとSDGs

2020年5月27日

パンデミックとSDGs

今回のパンデミックについては、これからの推移を見極める必要がある。これまでの情報から考えていることを述べたい。新型コロナ後をにらんで、改めて、SDGsを「自分事化」して使いこなす必要がある。(千葉商科大学基盤教育機構・教授/CSR/SDGsコンサルタント=笹谷秀光)

■ SDGs目標3のターゲット「3.3」

2020年を迎えた時点では、先進的企業では自社の事業についてSDGsの17目標だけでなく、その下の169のターゲットに当てはめる段階に突入していた。企業は、SDGsのターゲットレベルまで深める段階に入った。 今回のパンデミックは、SDGsで言えば、経済・社会・環境のすべてのターゲットに絡み極めて複雑な展開になっている。

目標3「健康」のうちターゲット3.3に「感染症への対処」が明記されている。 このターゲットの対応に、そのほかの目標やターゲットがどのように絡むかという、「リンケージ」を考えていかねばならない。 すぐ思いつくのは、同じ目標3のターゲットの「3.8」にある、基礎的保健サービスの整備やワクチン開発だ。

このほか、目標9の技術革新(医療機器や関連機材)、目標8の働き方改革(テレワークなど)、目標11の持続可能なまちづくり、目標4の教育・訓練(新たな生活に向けて)、目標16の平和と公正性、そして何よりも目標17のグローバル・パートナーシップが重要である。 世界がこのような予期せぬ危機に囲まれている状況の中で、SDGsの価値はいっそう高まってくると思われる。

■ パンデミックとSDGs

グテーレス国連事務総長が新型コロナに打ち克つために、G20のリーダーに向けた書簡(3月20日)などを発出している。世界は今、争いを避けウイルスとの戦いに専念すべきだと述べている。

その中で、パンデミック、気候変動およびその他のグローバルな課題に対しても より強靭な「包摂的」で「持続可能」な経済と社会を作り、パンデミックからの「よりよき回復」はわれわれの共通の責任である。 世界が合意した「2030アジェンダ」の「持続可能な開発」と気候変動に関するパリ協定が人類と地球に導きの光を提供し続ける。 我々は、この危機からの回復戦略は、これらの長期目標に向けて軌道に乗せていかねばならない、としてSDGsの役割を再確認している。 

■ リスク管理のSDGs

企業にとってSDGsはチャンスリストであると同時に、リスクの洗い出しにも役立つものだ。これまでは環境、人権、法令、労働が主なリスクであったが、今は健康リスクと世界の情勢リスク(人やモノの移動規制を含む)が重要要素として加わったといえる。 自然災害対策などの対応であるBCPの手法に加え、より深いリスク管理が求められ、そこでSDGsが機能すると考える。

今回は、ニューノーマルに向けて、生活の仕方や働き方(テレワークなど)の抜本的な見直し、ビジネスのサプライチェーンの見直しも必須である。中堅中小や非上場企業の企業も必ずどこかのサプライチェーンに属している。企業は、自社がサプライチェーンのどこに位置し、問題が起きた際にどのような影響があるかを把握すべきである。

これらのビジネスモデルの見直しにもSDGsが有効だ。SDGsを経営マターとして戦略にビルトインし、羅針盤として活用しつつ、経営の舵取りと社内の意識改革を推進することができる。

企業がSDGs経営に取り組むメリットとして、これまでどちらかといえば、社会課題の解決を通じた新たなビジネスの機会、といった文脈でチャンスの面が強調されることが多かったと思う。 しかし、今回の新型コロナウイルスの世界的流行によって、SDGsがリスク管理においても機能することが、いち早くSDGs経営に取り組んできた企業において再認識されている。新型コロナ後をにらんで、改めて、SDGsの「自分事化」のコツをつかむ必要がある。

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※ 本稿はヤフー・オルタナにも掲載

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