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「三方良し」通信

笹谷秀光の「三方良し」通信。ポストSDGs2024:「オワコン化」させる日本人

2024年12月26日

皆様、笹谷秀光です。
今回は、ポストSDGs2024です。

 

〇「オワコン化」させる日本人

日本人は、様々なことを十分に理解する前に、早々と“オワコン”化してしまう悪い癖があるのではないでしょうか。SDGs(持続可能な開発目標)に関しても2030年という達成期限が迫る中、同様の危険性が指摘されています。認知度は90%を超えたのですが、これを使いこなせている割合は2-3割との調査結果です。

2030年という達成期限が迫る中、目標の進捗状況を冷静に把握し、その先を見据えた取り組みが必要です。ここでは、ポストSDGsを理解し、次の時代に向けた基盤を築くためのポイントを整理してみます。

〇SDGsはむしろこれからが本番

この1年間、筆者は多様な関係者とポストSDGsについて考察を重ねてきました。それを論文や「オルタナ」での連載記事で発表してきました。食と未来、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)、気候変動、サステナブル・ツーリズムといったテーマで専門家とともに議論してきました。2024年12月には外務省の責任者とも意見交換を行いました。

これらを総合するとポストSDGsの課題と方向性についていくつかの重要なポイントが浮かび上がりました。

SDGs採択からすでに8年が経過する中で、その達成には依然として多くの課題が残されており、また規定された目標だけでは急速に変化する社会問題に対応しきれない面も浮き彫りになっています。2024年9月に開催された国連未来サミットでは、「未来のための約束(Pact for the Future)」が採択され、2030年以降の持続可能な開発のための枠組みについて56の行動を表明しました。

その中で、ポストSDGsの議論は2027年の次のSDGサミットから検討開始するとの内容が盛り込まれました。まさに今から検討を深めなければ世界での新たなルールメイキングに間に合いません。

また、国内ではSDGsの進捗状況を評価する自発的国家レビュー(VNR)が2025年に予定されています。このレビューは、日本が抱える課題である少子高齢化や資源の海外依存といった問題への対応を含みます。さらに、2025年の大阪・関西万博もSDGsをテーマとしており、重要なイベントです。

〇ポストSDGs

2030年以降を見据えたポストSDGsの議論では、特に企業の創造性とイノベーションが重要な役割を果たします。例えば、未来サミットの前に発表された、ヨハン・ロックストロームやジェフリー・サックスら有識者による「SDGsを2050年まで延長する提言」(2024年6月にNature誌に掲載)が注目されます。

2030年と2040年に中間目標を設定し、SDGsの枠組みを長期的に維持し、2050年までに気候変動や生物多様性の損失といった地球規模の課題に対応するためのロードマップが示されたのです。企業の役割も強調されています。

〇企業・関係者の役割

SDGsの17の目標と169のターゲットの達成には、政府や自治体だけでなく、企業の関与が不可欠です。企業は本業を通じて社会的価値と経済的価値を同時に追求する新たな価値創造の担い手としての役割を期待されています。

最近では、既存枠組みの17目標と169のターゲットを活用する「規定演技」を超えた「自由演技」にも取り組む企業が増えており、高次元のウェルビーイングを具体化する動きが注目されています。

ポストSDGsを成功に導くためには、個人、企業、そして行政が一体となり、持続可能な未来を共に描く必要があります。企業は経営戦略にSDGsを据え、多様な価値を協創することで、国内外での機運を高めることが期待されます。

筆者としても、この1年を締めくくり、2025年以降の重要な議論と行動につなげていくことが必要だと感じています。私たちは、2030年の達成に向けたラストスパートに取り組むと同時に、その先に続く未来を描き、新たな時代の礎を築いていかなければなりません。

〇お知らせ

自著『競争優位を実現するSDGs経営』がグローバルビジネス学会で受賞しました(第4回GBJ賞)。大変光栄に思います。私の博士論文を大幅に加筆加工して書籍化したものです。事例紹介させていただいた企業や関係者に感謝いたします。「GBJ賞」は、会員による優秀な著書および論⽂に対し、その業績を広く顕彰することを⽬的として、2021年度より設けられたものです。

〔著書部門〕タイトル: 競争優位を実現するSDGs経営、著者:笹谷秀光

授賞理由:本書は、近年投資家を中心に対応要請が高まっている企業のSDGs経営について取り上げたものであり、「企業の競争戦略とSDGs」の視点でサステナビリティについて体系的・網羅的に整理し、企業経営に役立つ経営支援ツールを提起している。ESG項目とSDGの各目標との関連性を一覧できる「ESG/SDGsマトリックス」を開発し、それを活用することにより企業が取組む社会課題の明確化、企業内の認識統一、社外への情報発信、経営プロセスの明確化などが効果的に進むことを実証的に示した。本書の完成度は高く、今後のSDGs研究の参考となりえる。以上より、GBJ賞に相応しいと評価した。

第4回目賞表彰式は、2024年9月2日(月)共栄大学で開催。2024年度研究発表会と同日に行われ、受賞者には表彰状および副賞として卓上置時計が授与されました。

詳しくはこちら

https://s-gb.net/…/%e2%96%a0%e7%ac%ac4%e5%9b%9egbj%e8…/

 

 

〇当面の活動

私が実行委員長を務めさせていただく「未来まちづくりフォーラム」も7回目を迎えます。

ポストSDGsと関係者の協創力をテーマに実施します。

未来まちづくりフォーラム / 開催概要

会期 2025年3月18日(火)・19日(水)  ※セッションコンテンツは3月19日のみ

会場 東京国際フォーラム

 

主催 未来まちづくりフォーラム実行委員会

特別協力 サステナブル・ブランド国際会議

後援 内閣府、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、全国知事会、全国市長会、全国町村会、一般社団法人CSV開発機構、一般社団法人全国地ビール醸造者協会(JBA)、一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク、エコッツェリア協会(一般社団法人大丸有環境共生型まちづくり推進協会)、千葉商科大学 サステナビリティ研究所、一般社団法人チームまちづくり(申請中)

 

現在のサイトは次です。

未来まちづくりフォーラム

 

〇企業研究会で「経営企画担当向け」の講座

これらの背景を踏まえ、私は「ポストSDGs時代の経営企画とサステナビリティ戦略の役割」をテーマとしたオンラインセミナー。大変ご好評いただき、シリーズ化が決定!冬の陣は

2月13日(木)14:30-17:00

間もなくサイトでの告知が始まります。当面は笹谷のホームページでご確認ください。

経営企画担当としてのスキルを磨き、内外の関係者との調整力を高めるための講座です。これまでの経験をもとに、理論と実践を組み合わせた内容でお届けします。

春の第1弾にご参加できなかった方も、ぜひこの機会にご参加ください。全国からウェブでご参加いただけます!お申し込みをお待ちしております。

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