笹谷秀光 公式サイト | 発信型三方良し

「三方良し」通信

笹谷秀光の「三方良し」通信。サステナトレンド2025:受け身的な開示から積極的な発信へ

2025年1月12日

皆様、笹谷秀光です。
今回は、サステナトレンド2025です。

 

サステナトレンド2025:受け身的な開示から積極的な発信へ

2025年の新年を迎えました。今年もどうぞよろしくお願いいたします。サステナビリティという言葉は、少し難しい印象を与えるかもしれません。

しかし、私にとってはシンプルに、「地球のため、人のため、自分のため、そして未来の子孫のため」という意味だと理解しています。つまり、重要なのは世代を超えた視点です。自分や自社の活動が、将来の世代――孫子の代から見ても誇れるものであるかどうか。それを問う価値観が、サステナビリティの根底にあります。

世の中を見渡してみると、あまりに複雑で、「今、何をし、どのように展開すれば未来につながるのか」が見えづらい状況です。これこそ各国の文化面も含めた力が試される場面でしょう。

そのような中、さまざまな情報を分析することで、いくつかの重要なトレンドが浮かび上がってきます。サステナビリティが現代の基本的価値観の中心にあることは間違いありませんが、2025年を迎え、これからの動きについて具体的に見ていきたいと思います。

  1. トランプ政権の影響とその波及効果

まず注目すべきは、トランプ政権後の政策が世界に及ぼす影響です。この点については多くの専門家がさまざまな分析を行っていますが、不確実性が極めて高い状況にあります。特に環境政策やエネルギー政策に関しては、国際的な影響力が非常に大きいため、引き続き注視が必要です。この影響が具体的にどう波及していくのかについては、今後詳しく取り上げたいと思います。

  1. サステナビリティ開示要求の高まり

次に重要なトレンドとして挙げられるのが、サステナビリティに関する開示要求の高まりです。この背景には、企業がサステナビリティに関連する取り組みを行っていると発信しても、その内容や成果がどのような基準で評価されるのかが明確でなければ、他社との比較ができません。このため、同一の基準に基づいた開示が求められるようになってきています。

ここでは「比較可能性」という観点が深く関わっています。

具体的には、気候変動に関する開示ルールは既に整備が進んでおり、同じルールに基づいた企業間の比較が可能になりつつあります。

また、注目すべき点として「人的資本開示」が挙げられます。これは企業の採用活動に直結し、特に優秀な人材を惹きつけるための重要な要素です。国際的な人材競争が激化する中、企業は自らの魅力を積極的に発信しなければなりません。

投資家にとっても、開示された情報をもとに企業を評価し、選別することが重要になります。

このように、受け身的に開示要求に応えるだけではなく、積極的に情報を発信し、他社との優位性をアピールする姿勢が求められる時代に突入しました。

  1. 「発信型三方良し」の時代へ

日本企業に特有の「発信力の弱さ」が今後の課題となることは間違いありません。これを克服するためには、積極的な発信型の取り組みを行う必要があります。

日本には「三方良し」という伝統的な価値観がありますが、これを現代のグローバルな文脈で捉え直す必要があります。これまでは「陰徳善事」として、良い行いを声高に主張しないことが美徳とされてきました。

しかし、国際社会では通用しません。「発信型三方良し」に変えるべきです。つまり、自社の取り組みを積極的に発信し、透明性を確保することが、企業価値を高める鍵となるのです。

この点は井之上喬先生の「パブリック・リレーションズ:戦略広報を実現するリレーションシップマネージメント」(日本評論社)が参考になります。

映画やドラマ好きな私が注目したのは、昨春に米国で大評判となった「SHOGUN 将軍」です。

主演に加え、プロデューサーも務めた真田広之さんが戦国時代の実像を正しく描くことに注力し、米テレビ界最高の栄誉とされるエミー賞で18冠を達成しました。エミー賞はこれまで「24」「ロスト」「ブレイキング・バッド」といった、日本でもよく知られるヒット作品が受賞しています。

続いてゴールデングローブ賞・テレビのドラマシリーズ部門で作品賞、真田さんの主演男優賞など4冠を達成しました。授賞式での英語のスピーチも素晴らしかったです。真田さんはもちろん、助演男優賞の浅野忠信さんのフランクなスピーチは反響を呼びました。

うれしいニュースが続きました。2025年の米国男子ツアー初戦「ザ・セントリー」で松山英樹選手が優勝です。

このように文化やスポーツにおいて、日本のソフトパワーは今や国際社会の中で確固たる地位を築いており、国家のブランド力さえ高める大きな要素となっていることは日本人の励みになります。

2025年:サステナビリティの重要な節目

2025年は、サステナビリティにおいて重要な節目となる年です。2015年にパリ協定やSDGsが採択され、日本でもコーポレートガバナンス・コードが導入されました。それから10年を経て、3点ともに重要な局面に入ります。

特に折り返し地点を超えたSDGsについては、これからがまさに本番です。ポストSDGsの議論が本格化していきます。2027年に予定されている国際的なポストSDGs議論の開始を見据え、日本では2025年中に進捗状況を整理し、次のステップへの準備を進めることが重要となるでしょう。

この点については筆者と外務省の地球規模課題総括課長との対談記事をご参照ください。

おわりに

最新情報については随時、当社のホームページでお知らせいたします。今年も本メルマガを通じて、皆様に役立つ情報をお届けしてまいります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

〇当面の活動

私が実行委員長を務めさせていただく「未来まちづくりフォーラム」も7回目を迎えます。

ポストSDGsと関係者の協創力をテーマに実施します。今から、日程を確保ください。

未来まちづくりフォーラム / 開催概要

会期 2025年3月18日(火)・19日(水)  ※セッションコンテンツは3月19日のみ

会場 東京国際フォーラム

 

主催 未来まちづくりフォーラム実行委員会

特別協力 サステナブル・ブランド国際会議

後援 内閣府、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、全国知事会、全国市長会、全国町村会、一般社団法人CSV開発機構、一般社団法人全国地ビール醸造者協会(JBA)、一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク、エコッツェリア協会(一般社団法人大丸有環境共生型まちづくり推進協会)、千葉商科大学 サステナビリティ研究所、一般社団法人チームまちづくり(申請中)

 

現在のサイトは次です。

未来まちづくりフォーラム

 

〇企業研究会で「経営企画担当向け」の講座

これらの背景を踏まえ、私は「ポストSDGs時代の経営企画とサステナビリティ戦略の役割」をテーマとしたオンラインセミナー。大変ご好評いただき、シリーズ化が決定!冬の陣は

2月13日(木)14:30-17:00

https://form.bri.or.jp/public/seminar/view/75330

 

経営企画担当としてのスキルを磨き、内外の関係者との調整力を高めるための講座です。これまでの経験をもとに、理論と実践を組み合わせた内容でお届けします。

春の第1弾にご参加できなかった方も、ぜひこの機会にご参加ください。全国からウェブでご参加いただけます!お申し込みをお待ちしております。

 

〇企業におけるCSR・人権担当者向け実践講座で講義、ビデオが見れます(令和6年度経済産業省中小企業庁委託)

 

企業活動に人権的視点を取り入れることの重要性についての理解を広め、CSR(企業の社会的責任)を取り入れた企業活動の推進に資することを目的に、企業において関心が高いテーマの講義を配信しています。

 

配信期間  令和7年2月14日(金)まで

https://www.jinken-library.jp/news/detail/113097/

笹谷は「(5)CSR」を担当し、企業事例として、伊藤園、NECネッツエスアイ、モスフードサービス、熊谷組などを紹介。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
笹谷 秀光 (Sasaya Hidemitsu)
経営コンサルタント

千葉商科大学客員教授、博士(政策研究)

(連絡先)アドレス info@csrsdg.com
◆笹谷秀光公式ホームページ
https://csrsdg.com/
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

※今後、メール配信を希望されない場合は、その旨をご返信ください。

お問い合わせ
通信講座お申し込み